「ダイエット目的で朝ご飯をプロテインに置き換えているけど、夜にも飲む必要はあるのかな?」
「筋トレ後に飲むイメージはあるけど、1日1回飲めばいい?」
「食事制限をしていて、食事でのたんぱく質が足りていない場合は、どれくらい飲めばいい?」
こんな悩みを抱えていませんか?
せっかくプロテインを摂取するのであれば、その効果を無駄なく最大限に活かしたいですよね。
プロテイン摂取量は体格や活動量に個人差があるため、人それぞれ自分の状況に応じて調整する必要があります。
本記事では、プロテインの適正な摂取量や飲むタイミング、過剰摂取のリスクについて詳しく解説していきます。
自分に最適な摂取量を把握し、リスクを避けつつ効率よくプロテインを摂取していきましょう。
Contents
プロテインを1日何回飲むべきかは人によって異なる
「プロテインを1日何回飲むべきか?」に対する明確な答えは残念ながらありません。
個人の体重、活動量、基礎代謝、食事の内容といった要素がそれぞれ異なるため、適切な摂取回数は人に応じて変わります。
そのため、年齢や性別で一概に推奨量を決めることは難しいのです。
例えば、食事で十分なたんぱく質を摂取できている場合、プロテインを追加で飲む必要はありません。
運動量が多い人や筋肉増強を目指している人は、通常の食事に加えてプロテインが必要になるケースが多いです。
また、食事バランスが偏っている方もたんぱく質の摂取が不足がちなため、プロテイン摂取が必要です。
食事や運動のバランスを考慮し、自分の身体にとって適切な回数でプロテインを取り入れましょう。
自身の体重に合わせたたんぱく質摂取量を知る
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、日常のたんぱく質摂取量の目安は、体重1kgあたり0.73gです。
この基準は、15~84歳の人々を対象とした研究の結果に基づいており、性別や年齢による差はないとされています。
しかし、活動量やライフスタイルによって必要な量は変わるため、個々の状況に応じて調整が必要です。
また、若年成人を対象とした研究によると、運動量が多い人や筋肉量を維持・増加させたい人には、推奨量を超えるたんぱく質摂取が効果的です。
具体的には、1日に1.8g/kg(体重)のたんぱく質を摂取したグループは、除脂肪体重(筋肉量)が増加した一方で、0.68g/kg(体重)のたんぱく質しか摂取しなかったグループでは筋肉量が減少したと報告がされています。
これらの結果から、筋肉を維持・増強するためには、推奨量を上回るたんぱく質の摂取が求められると考えられます。
特に、運動や筋トレをおこなう人は、日々の活動に応じた適切な摂取量を確保することが重要です。
体重別×活動量で、1日のたんぱく質維持必要量を表にすると以下のとおりです。
これはあくまでたんぱく質の必要量であってプロテインの摂取目安量ではありません。
ここからさらに食事から摂取するたんぱく質量を差し引き、摂取するプロテイン必要量を決めていきます。
体重 | ハードな筋トレをしている人(1.8g/kg) | ジョギングなどの軽い運動をしている人(1.26g/kg) | 特に運動はしていない人(0.73g/kg) |
---|---|---|---|
50kg | 90g | 63g | 36.5g |
60kg | 108g | 75.6g | 43.8g |
70kg | 126g | 88.2g | 51.1g |
80kg | 144g | 100.8g | 58.4g |
例:55kg/軽い運動:55(kg)×1.26(g/kg)=69.3g
食事で摂取できるたんぱく質量の目安と不足量を知る
たんぱく質の必要摂取量は、運動量や生活習慣によって異なります。
以下では、食事スタイルごとのたんぱく質摂取量の目安を示し、それぞれのケースで不足が生じる場合の対策も解説します。
また、運動レベルごとの1日の必要量(体重60kgの例)に基づき、具体的な不足量を計算しましょう。
1日3食、健康的な食事が摂れている人
バランスの取れた食事をしている場合、1食あたり15~25gのたんぱく質を摂取することが可能です。
食事例:
- 朝:卵1個(6g)+ヨーグルト1カップ(8g)=14g
- 昼:鶏むね肉100gのサラダ(22g)+玄米(3g)=25g
- 夜:焼き魚(20g)+豆腐150g(10g)=30g
1日合計:69g
活動レベルごとの必要量(体重60kgの例)
- ハードな筋トレ(1.8g/kg):108g(不足39g)
- 軽い運動(1.26g/kg):76g(不足7g)
- 運動なし(0.73g/kg):44g(十分な摂取量)
解決策:
軽い運動をしている場合は食事だけで必要なたんぱく質をほぼ補えます。
筋トレをしている人は、トレーニング後にプロテイン1杯を摂取することで、不足分を補えますよ。
簡単な食事で済ませている人
例えば、朝は菓子パン、昼は外食、夜は簡単な自炊の場合、たんぱく質が不足しやすくなります。
食事例:
- 朝:菓子パン1個(2g)
- 昼:パスタ+サラダ(10g)
- 夜:野菜炒め+ご飯(12g)
1日合計:24g
活動レベルごとの不足量(体重60kgの例)
- ハードな筋トレ:108g(不足84g)
- 軽い運動:76g(不足52g)
- 運動なし:44g(不足20g)
解決策:
このような生活では、朝食としてプロテインを追加で摂取したり夕食後のホットプロテインを取り入れたりすると、必要量を無理なく補えます。
外食が多い場合でも、サラダに鶏肉やゆで卵を加えるなどすれば、その分たんぱく質の摂取量を増やせますよ。
外食や飲み会が多い人
外食や飲み会が多いと、たんぱく質を摂取できているように見えても、脂質や糖質が多く、栄養バランスが崩れやすくなります。
食事例:
- 朝:パン+コーヒー(2g)
- 昼:ハンバーガーセット(15g)
- 夜:飲み会の揚げ物や焼き鳥(20g)
1日合計:37g
活動レベルごとの不足量(体重60kgの例)
- ハードな筋トレ:108g(不足71g)
- 軽い運動:76g(不足39g)
- 運動なし:44g(不足7g)
解決策:
飲み会が多い場合は、飲み会の翌朝にプロテインを取り入れることで、たんぱく質不足を補えます。
また、カロリーを抑えるため、揚げ物を避け、焼き鳥や刺身など高たんぱく低脂質のメニューを選ぶのも良い方法です。
不足分をプロテインで補う
「1日何回プロテインを飲むべきか?」の答えは、個々の体重や活動量に基づいて、たんぱく質の必要量を算出し、そこから食事で摂取できる量を引いて決まります。
例えば、体重50kgで軽い運動をする人の場合、1日のたんぱく質維持必要量は63gです。
バランスの取れた食事ができている場合、追加でプロテインを飲む必要はありません。
しかし、外食や飲み会が多く、1日のたんぱく質摂取量が37gにとどまる場合、不足する26gをプロテインで補う必要があります。
プロテインが足りないとどうなる?
プロテインを筋肉増強、美容、ダイエット目的で摂取している場合、通常よりも多くのたんぱく質が必要になります。
十分なたんぱく質が摂取できていないと
- 疲れやすくなる
- ダイエット中に筋肉量が減る
といった悪影響が出てしまいかねません。
具体的にどのような影響があるか、それぞれ解説していきます。
疲れやすくなる
筋トレをおこなう場合、日常生活で摂取しているたんぱく質よりも多くのたんぱく質が必要です。
もし、プロテイン摂取量が十分でないと、筋肉の修復にたんぱく質が優先的に使われるため、エネルギー産生やほかの重要な身体機能に必要なたんぱく質が不足し、結果として疲れやすくなることがあります。
さらに、プロテイン摂取量が不足した状態で日常生活を送ると、基礎代謝が下がり、疲労感が増してしまうことも考えられます。
ダイエット中に筋肉量が減る
ダイエット中にプロテイン摂取量が足りていないと、筋肉量の減少に伴い、基礎代謝が低下するリスクがあります。
ダイエット中の食事制限などで、十分なたんぱく質を食事から摂取できないと、身体は筋肉を分解してエネルギーを得ようとしてしまいます。
筋肉量が減ると基礎代謝が下がり、エネルギー消費が少なくなるため、体重を落とすという目的を達成しにくくなってしまいます。
プロテインを過剰摂取する2つのリスク
特に持病がない場合、プロテインを摂取することで健康被害が出ることはほとんどありません。
しかし、筋トレなどの運動をおこなっていない場合に必要以上のたんぱく質を摂取することは推奨できません。
ここでは、日常的に運動をおこなっていない方がプロテインを過剰摂取した場合に考えられる、以下2つのリスクについて解説していきます。
- お腹の調子が悪くなる
- 体重が増加してしまう
お腹の調子が悪くなる
たんぱく質が体内で消化される際、窒素が発生しますが、この窒素は腸内の悪玉菌のエサとなります。
過剰にプロテインを摂取すると、未消化のたんぱく質が腸内で腐敗し、悪玉菌が増殖するため、結果として腸内バランスが乱れ、便秘を引き起こす原因となります。
また「乳糖不耐症」の方が乳糖を含むホエイプロテインなどを過剰に摂取した場合、下痢の症状が出る場合があります。
乳糖不耐症
・乳糖不耐症とは?
乳糖の消化酵素が不足している方が、牛乳やプロテインを摂取したときに腹部膨満感や下痢、吐き気などの症状が現れることです。
・自分が乳糖不耐症か判断するには?
牛乳などの乳製品を摂取した際に症状が現れるかどうかで確認できます。
過去に牛乳を飲んでお腹が痛くなった経験がある方は、乳糖不耐症の可能性が高いです。
・乳糖不耐症の場合はどうすればいい?
プロテインの製法には、WPC製法とWPI製法の2種類があります。
WPC製法では乳清をろ過し、フィルターで膜処理した液体を凝縮・乾燥させる手法で乳糖も含まれます。
WPI製法はWPC製法で含まれる不純物を取り除くため乳糖含有量が大幅に低く、乳糖不耐症の方でもWPI製法のプロテインであれば不快感なく飲めることが多いです。
・WPIプロテインの選び方
市場に出回っているものの多くがWPCプロテインです。
商品に明記がない場合、基本的にWPCプロテインと認識して良いでしょう。
WPIプロテインを購入する場合は、パッケージや商品説明に「WPIプロテイン」と書いているものを選ぶようにしてください。
体重が増加してしまう
「日本人の食事摂取基準(2025年度版)」では、乳児を除く全年齢で脂質摂取基準は1日あたり50~60gとされています。
プロテインバーや筋肉増強用のプロテイン製品は特に脂質が多く、カロリーも高くなる傾向にあります。
脂質含有量が多いプロテインを日常的に摂取すると、余分に摂取されたカロリーが脂肪として体内に蓄積され、肥満や体重増加のリスクが高まるため、注意しましょう。
プロテインバーなどは脂質含有量が10gを超える製品も多く、日常的に運動をしない方が基本的な食事を摂取した上で毎日1日1本以上摂取し続けると体重増加のリスクが高まります。
「手軽だから」という理由だけで安易にプロテインバーを選ぶのは控えましょう。
プロテインは1日何回かに分けて飲む
たんぱく質の消化・吸収量は限りがあるため、1日1回にまとめて飲むことは推奨されていません。
一度に多くのたんぱく質を摂ってしまうと、むしろ内臓に負担がかかってしまい、内臓疲労を引き起こしてしまうリスクや、腸内環境の乱れから便秘になってしまうなどのリスクが高まります。
まずは、食事での均等なたんぱく質摂取を心がけ、足りない分をプロテインで補うようにしてください。
たんぱく質が不足するタイミングでのプロテイン摂取が、効果を無駄なく最大限活かすコツです。
朝のプロテインで代謝をサポート
私たちの身体は、睡眠中も心臓の鼓動や呼吸、体温調節といった機能を維持するために多くのエネルギーとアミノ酸が使われています。
そのため、朝目覚めたときには、体内でのたんぱく質が不足して「枯渇状態」となっていることが多くあります。
このような状態で、たんぱく質を補給せずに1日の活動を始めてしまうと、必要なアミノ酸を補うために筋肉が分解されやすくなり、結果として筋力低下や基礎代謝の低下につながります。
基礎代謝は1日を通してエネルギー消費のベースとなり、代謝が低下すると体重管理や健康維持にも影響を与えてしまうため、できることなら基礎代謝を下げることは避けたいですよね。
とはいえ、忙しい朝に栄養バランスの整った食事を用意するのは難しいものです。
そこで、朝食にプロテインを取り入れるのがおすすめ。
プロテインなら水や牛乳に溶かすだけで簡単にたんぱく質を補給できるので、朝の忙しい時間帯でも手軽に身体の代謝のサポートができますよ。
筋トレ直後に焦ってプロテイン摂取する必要はない
筋トレ後の約30分間は「ゴールデンタイム」と呼ばれており、この時間にプロテインを摂取すると効果が高いといわれています。
これまでの研究でも、筋トレ直後にプロテインを摂取したほうが筋肉量や筋力が増加するという結果が得られていました。
しかし、最近の研究では、年齢やプロテインの摂取タイミングにかかわらず、筋肉中のたんぱく質合成が運動後の24~48時間持続することが確認されており、この考えが主流になりつつあります。
つまり筋肥大しやすい時間は筋トレ直後に限らず、1日以上にわたって続くため、筋トレ直後に焦ってプロテインを摂取する必要はありません。
ただし、筋力を増強したい場合、筋トレ開始の70分ほど前にプロテインを摂取すると、血中アミノ酸レベルが高まり、筋トレ中の筋肉分解を防ぐ効果があるとされています。
筋肥大を意識する場合、トレーニング後のプロテイン摂取も大切ですが、直前の摂取も意識するとより効果的であるといえます。
就寝前のプロテインで成長ホルモンの働きをサポート
筋肉の成長には成長ホルモンが欠かせません。
このホルモンはたんぱく質からできており、特に就寝中の分泌が活発で、眠りについてからの30分~1時間で分泌量がピークを迎えます。
また、成長ホルモンは代謝の調節や、免疫機能、認知機能のサポートをし、筋肉の増強にも重要な役割を果たします。
成長ホルモンが分泌される時間帯に体内のたんぱく質量が不足していると、筋肉の回復や成長だけでなく、身体全体の機能が十分働かず、身体が疲れやすくなるなどの影響が出てきてしまいます。
したがって成長ホルモンがしっかり働くようにするためにも、寝る前に1日の食事を振り返って、たんぱく質量が足りていない場合はプロテインを飲む、という習慣を取り入れることがおすすめです。
ただし、寝る直前の摂取は胃腸に負担をかけてしまう恐れがあるため、就寝前30分~1時間に摂取するのが理想的です。
目的別のプロテイン摂取タイミング
プロテインを摂取する目的は人それぞれです。
筋トレをしていて筋肉増強のためにプロテインを摂取している人もいれば、単に食事で不足しているたんぱく質を補う目的でプロテインを摂取している方もいますよね。
それぞれの目的に合ったタイミングで不足したたんぱく質をプロテインで摂取することで、よりその効果を発揮できます。
筋力アップ目的なら運動前後に
筋力増強を目的としている場合、運動前後のプロテイン摂取が効果的です。
筋トレ直後に焦って飲む必要はありませんが、筋トレ開始前やジム終わりなどの一息ついたタイミングで摂取することをおすすめします。
栄養補給目的なら就寝前に
食事で不足したたんぱく質を補う目的の場合は、就寝前30分~1時間での摂取がおすすめです。
プロテインを摂取することで成長ホルモンの働きをサポートしましょう。
ダイエット目的の場合
ダイエット目的の場合、朝食後や運動後にプロテインを摂取するのがおすすめです。
朝食後であれば代謝のサポートに、運動後であれば脂肪燃焼効果が期待できます。
また、食事制限によるダイエットの場合は、ホエイプロテインを食前に飲むことで食欲を抑えることもできます。
まとめ:自身に合ったプロテイン摂取を
プロテインの最適な摂取回数や量は人それぞれ異なります。
体重や活動量に応じて不足分を補い、無理なく取り入れることが大切です。
筋トレ前後や朝・就寝前のタイミングで摂取すると、代謝のサポートや筋肉の回復に効果的です。
美容目的で特別な運動をしない成人女性の場合でも、就寝前の摂取は成長ホルモンの働きを助け、美容効果を高めるのでおすすめです。
1日1回、15~20g程度のプロテインシェイクで手軽に続けましょう。
ただし、飲みすぎは腸の不調や体重増加につながるので注意が必要です。
自分の生活スタイルに合ったペースで、無理なく続けていきましょう。
あなたの目標に合わせて、プロテインを賢く取り入れ、健康的な毎日をサポートしてください。