PRする場合の法知識 美容コラム

それってステマ?インフルエンサーが気を付けるべきステマ規制について

2024-09-30

2023年10月1日に施行されたステマ規制。

その頃は私も法律に全然詳しくなく、「ステマってなに?」という状態だったんですが、この1年で少しずつインプットしたことを本記事でアウトプットしていきます。

Q&Aとともに「法律読めない……」と思っている方でも分かりやすく解説していきますので、最後までご覧いただけると幸いです。

また、この記事の作成にあたり、薬機法に詳しい弁護士の髙沢さんに監修していただきました。髙沢さんのプロフィールはこちら。

髙沢 晃平 弁護士

薬機法、医療法、景表法等の専門性が高い分野を扱う。法務コンサル、契約書・広告チェック。X(旧Twitter)ではフットサル好きの弁護士として発信。

Contents

ステマ規制ってなに?

2023年10月1日から施行されたステマ規制。

「ステマ」とは、「ステルスマーケティング」の略称で、消費者に事業者の広告・宣伝と分からないように商品・サービスの利用を促す発信をするというものです。

例えば、ブログ記事やSNSの投稿で、広告主からの依頼で商品を紹介しているにもかかわらず、そのことを明示せずにあたかも個人的な感想として書いているケースなどが該当します。

同義語に「アンダーカバーマーケティング」「サクラ」「おとり」などがあります。

ステマが注目された事件「ペ二オク事件」とは?

「ステマ」という言葉が広く知られるようになった背景には、2012年に発覚した「ペニーオークション詐欺事件」が関係しています。

「ペニーオークション詐欺事件」は、事業者が消費者から入札手数料を不正に集めた詐欺事件です。一部の芸能人がこのサイトを宣伝し、5~40万円の報酬を受け取っていたことが発覚し、「ステマ投稿」として批判されました。芸能人らは詐欺への直接関与を否定しましたが、この事件を機にステルスマーケティングの問題が広く知られるようになりました。

芸能人たちが詐欺罪で立件されなかった背景には、彼らが「実態を知らなかった」と主張したことや、仮に軽犯罪法(第1条34号)が適用されたとしても、公訴時効(1年)が過ぎていたためです。結果的に、法的な追及は行われず、社会的制裁のみで事態が終息しました。

この事件をきっかけに、ステルスマーケティングの問題が社会的に大きく注目されるようになったのを覚えています。ステマが違法だという認識は持っておいたほうが良さそうですね。

ステマがダメな理由

ここでは、もう少し「ステマがなぜダメなのか?」についてSNS投稿に特化して解説していきます。

フォロワーに誤認を与えやすい行為であるため

例えば、あなたの推しの芸能人がSNSで「この美容液を毎日使っているおかげで、私の肌は美容医療なしでこの状態なんです!」と投稿したら、ちょっと試してみたくなりませんか?私なら、つい気になってしまいます(笑)

しかし、もしその投稿に広告であることが明記されていなかったら、どうでしょう?投稿者が本当にその商品を良いと思っているのか、それとも報酬を受け取って宣伝しているに過ぎないのかが分かりません。

一般的に、情報の受け手は広告だと分かっていれば「広告だから良いように書いているんだろうな」といった距離感を持って内容を受け取れます。でも、広告表記がない場合、そのバランスが崩れてしまい、何が本当なのか分からなくなってしまいますよね。

美容関連の投稿でも、「○○ちゃん買い」という表現を見かけることがあります。誰かがおすすめしていたから買ったというのは、その人への信頼に基づいた行動ですよね。だからこそ、広告であるかどうかをはっきりさせることが重要なのです。

ステマが引き起こす炎上のリスク

SNSを利用していると、炎上している投稿を目にすることがあります。中には、「炎上商法」という意図的なものもありますが、ほとんどの人は炎上を避けたいと思っているのではないでしょうか?

しかし、一度「ステマ投稿」をしていたことが発覚すると、信頼を失い、フォロワーが離れてしまうリスクがあります。フォロワーが離れていくだけでなく、企業からも避けられるようになる可能性が高まります。

誠実さを意識する企業は、信頼性が低いと判断したインフルエンサーとは関わりたくないため、ステマが原因で企業からのPR依頼が減るリスクも充分にあるでしょう。ステマは一瞬の利益を得ることができたとしても、長期的には大きなマイナスとなる可能性が高いのです。

ステマ規制(景品表示法)と薬機法の違い

美容系のインフルエンサーが特に気を付けないといけない法律は「ステマ規制」を含む景品表示法と薬機法です。SNSを見ていると、ステマ規制と薬機法を混同しているな、と感じることも多く、ここでは簡単にそれぞれの違いを解説します。

不当な広告全般を規制する法律「景品表示法」

正式
名称
不当景品類及び不当表示防止法(ふとうけいひんるいおよびふとうひょうじぼうしほう)
略称景品表示法、景表法(けいひんひょうじほう、けいひょうほう)
管轄消費者庁
規制
対象
事業者(広告主である企業)
内容と
目的
商品・サービスの不当表示や過大な景品の提供など、不当な顧客誘引を禁止する法律。
消費者を誤解させるような広告や宣伝を防ぐこと目的としている。
規制の
対象
自己の供給する商品又は役務の取引に関する表示
  • 優良誤認:実際よりも商品の品質や性能等の内容が著しく良いものだと思わせるもの
    • 例:「3日間の使用で美白効果を実感する美容液」(薬機法上もNG!)
    • 例:「1週間飲むだけで身体スッキリ!」(根拠なければNG!)
  • 有利誤認:実際の商品や他の事業者よりも商品の価格等の取引条件が著しく良いものだと思わせるもの
    • 例:「(実際にはいつも80%オフ価格で販売しているにもかかわらず)今だけ80%オフ!」
    • 例:「(実際にはそれを見ていなくてもその価格で購入できるにもかかわらず)これを見た方限定価格!」
    • 例:「他社よりも一番安くて良い!」(薬機法上の広告にあたる場合は他社誹謗広告に該当し得るため、薬機法上も問題あり!)
  • その他の不当表示:内閣総理大臣が個別に指定している不当表示のこと。「ステマ規制」もこれに含まれる
    • 例:原産国が○○であるにも関わらず●●と表記する行為
    • 例:実際には契約できない不動産を顧客誘引の目的で表示

ざっくり説明すると「その広告って本当?根拠ある?」という虚偽や行き過ぎた広告を規制する法律です。

行政からの指摘があった際、15日以内に合理的根拠の提出が求められます。合理的根拠と見なされるためには厳しい基準があります。

消費者の安全を守る「薬機法」について

正式
名称
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
略称薬機法(やっきほう)
管轄厚生労働省
規制
対象
何人(なんぴと)も。誰もが対象
内容と
目的
日本国民の健康と安全を守るための法律
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等の品質や安全性を確保し危害の発生・拡大を防止や指定薬物の禁止、保健衛生の向上を目的としている。
広告の
定義
1.顧客誘引性:消費者の購買意欲を刺激すること
※アフィリエイトリンク等を付ける場合は顧客誘引性ありと判断されます
2.特定性:商品名が分かること
3.認知性:自分以外の誰かが投稿を見られる状態にあること
この3つすべての条件を満たしたものが「広告」

SNSで美容系の発信をするなら、薬機法は必須の知識!詳しくは以下の記事を見てください。

「PR」表記をするかどうかの問題は、景品表示法によって規制されています。この法律は薬機法とは別もので、管轄や規制対象も異なります。また、「広告」の定義も上記のとおり異なります。

薬機法では、個人が違反すればその個人も責任が問われますが、景表法では、規制対象が事業者(広告主である企業)であるため、インフルエンサーが違反すると、企業がその責任を負うことになります。ステマに関して、今現在インフルエンサーが法的に罰されることはありませんが「ペニオク詐欺事件」のように社会的な制裁を受けるリスクや、インフルエンサーが企業からの依頼に基づいて投稿をしている場合には、企業から損害賠償請求をされてしまうリスクもあります。

その投稿、PR必要?

ここでは、インフルエンサー向けに「PR」表記が必要なケースについて具体的に解説します。

PR表記が必要な場合

企業から報酬や無料サンプルを受け取った場合

企業からお金を受け取っている場合はもちろん、無料で商品やサービスを提供されたうえで何らかの指示があり、それを紹介する投稿をする場合には「PR」表記が必要です。たとえ商品を自分で気に入っていて、好意的なレビューをしたとしても、報酬などの利益がある場合は消費者にその関係性を明示する義務があります。

アフィリエイトリンクを含む投稿

アフィリエイトリンクを含む投稿は、クリックや購入に応じて報酬を受け取る仕組みになっているため、こちらも「PR」表記が必要です。フォロワーに対して、あなたがその投稿から利益を得ていることを伝えるためです。

企業とコラボレーションした場合

企業との共同企画やコラボ商品を宣伝する場合も「PR」表記が必須です。たとえその商品やサービスにあなたが強く共感していても、企業からの支援や協力があった場合は透明性を保つために明示する必要があります。

自身の所属する組織や関連会社、利害関係がある場合

自分の勤める会社の商品を個人アカウントで宣伝するような場合も「PR」表記が必要です。

また、アンバサダーとして一定期間商品提供を受ける場合も毎回「PR」表記は必要です。プロフィール欄のみで表記するのは不明瞭と見なされてしまうため、許容されません(ただし、CM出演しているような、社会通念上で関係性が認知されている場合は除きます)。

PR表記が不要な場合

完全に自腹で購入した商品を紹介する場合

自分のお金で購入し、純粋に個人的な意見として商品やサービスを紹介する場合、「PR」表記は不要です。この場合は、企業との金銭的な関係がない(=企業と取引関係がない)ため、その紹介が企業の広告には該当しないことになります。この場合でも、客観的に見て「無関係な第三者(購入者)の自主的な意思に基づく情報発信」であると認められるような投稿を心がけてください。

企業が情報内容の決定に関与しない場合

事業者(提供元企業)や広告代理店等の中間企業が、発信者(投稿する本人)の発信する情報内容の決定に関与しない場合は「PR」表記は不要です。

  • 例:当選品やギフティングで「レビューしていただけると嬉しいです」等の強制力がないもの

企業との関係が一切ない場合

企業から何の報酬や特典も受け取っておらず、単なる個人的な体験や意見として投稿する場合には「PR」表記は必要ありません。

キャンペーン応募・当選品(景品)・サンプル配布の場合

商品の試用そのものを目的とする試供品や、お試し券で商品を取得した提供の場合でその商品を紹介した場合、その他懸賞応募・キャンペーン参加のための応募条件としてハッシュタグを付けているだけの場合は「PR」表記不要です。

しかし、その場合でも、例えばレビューを書くことを条件にサンプルを配布している場合等、商品の内容に関して主観的な感想を強制的に発信させている場合は「PR」表記が必要となります。

また、薬機法や景表法に抵触するような内容や最上級表現を指定ハッシュタグにすることはできません。

「PR」表記簡易判断ガイド

インフルエンサーが商品投稿する際に「PR」表記が必要な場合は、以下のチャート図のとおりです。

以下のチャート図は、私自身のPR経験をもとに作成したものです。参考程度にしてください。

レビュー依頼・内容の指定なし・報酬支払あり・「PR」表記なし指定:ステマに該当

レビュー内容の指示がない場合でも、商品の提供+報酬の支払いがある場合は、企業が投稿者に「経済的利益」を与えて広告をさせた、といえるため、「PR」表記は必要です。投稿を見た人に、広告であること(=「PRをつけること」)を明示することが必要です。

特定多数のインフルエンサーに無償提供・レビュー依頼なし・従来の関係性等を踏まえて忖度してSNS投稿した場合:ステマに該当

A社としてはSNSに投稿してほしいと思っていて、従来からA社と取引があったインフルエンサー数十~数百人に商品提供する場合で、インフルエンサーが気を利かせて投稿を行う場合について、これは関係性の明示(#PR #A社)がない場合は、ステマに該当してしまいます。インフルエンサー側で判断するのが難しいため企業側が関係性の明示を依頼する必要があります。

不特定多数に無償提供・レビュー指示なし:ステマには当たらない

街頭での商品のサンプル配布など、不特定多数を対象とし、かつ広告主が配布した人物を特定できない場合は、「PR」なしで投稿されていてもステマには該当しません。

「SNS等に投稿していただける際は#PR #A社と記載してください」と配布資料に書いてある場合で、インフルエンサーが独断でそれを無視した場合、企業側は許容余地ありとされています。

広告主(企業)から依頼された広告・宣伝であることが、消費者に分からない、もしくは分かりにくい投稿であればステマに該当します。商品提供や報酬の支払いだけでなく、参加者が限定されたイベント招待などの広義の経済的利益が提供された場合も、それに関する投稿は、広告主から依頼された広告・宣伝に該当する可能性があるため「PR」表記が必要です。商品や報酬はもちろん、割引クーポンや商品券・ポイントもその対象です。

「PR」表記のルール

ここでは、WOMJガイドラインをもとに、ステマにならない投稿をするために重要な注意点を解説します。

※WOMJガイドラインは、一般社団法人クチコミマーケティング協会によりクチコミマーケティング業界の健全なる育成と啓発を目的とした、クチコミマーケティングに関する運営指針です。このガイドラインは、景表法そのものではありませんが、これに準拠することでステマ規制に違反することを防ぐことができます。

共通ルール

上記のチャート図で「PR表記必要」となったものに関して、WOMJガイドラインは以下のルールの遵守が求められます。

ハッシュタグ

各SNSでの投稿には#PR・#広告・#宣伝・#プロモーションの4つのうち、1つの記載が必要になります。

「#PR」は必ずハッシュタグ群の先頭に表示する必要があります。

また、上記以外の関係タグの表記は認められていません。

#PR・#広告・#宣伝・#プロモーション(4つのうち1つ)+#ブランド名

例:#AD・#pr・#Promotion等

#… #PR #… #…:「#PR」が先頭に来ていない

大量のハッシュタグ群に「#PR」が埋もれている

開かなければ見えない位置に「#PR」表記

リプライやコメント欄での「#PR」表記

「#PR」表記の文字が小さい・薄い色で視認できない

動画の概要欄のみで「#PR」表記をし、動画内で「#PR」に触れない

「#PR」表記があるにも関わらず、「PRではありません」等の文言や発言がある

#ギフティング:いただいていることは分かる表記だが、関係性表示タグとして認められた表示ではない

※「#ギフティング」=「#Gifted」

提供元はどこなのか?

PRで商品をいただいた場合、関係性の明示が必要であり、必ずおおもとの提供元の記載が必要です。

#PR #A社 #… #…:「#PR #ブランド名」の順でハッシュタグが指定されている

【PR】#A社

#PR #A社からいただきました

A社から商品提供いただきました

A社のプロモーションに参加しています

A社の商品モニターに協力中です

A社から○○(イベント名)に招待されました

#A社PR:「#PR」が先頭に来ていない・「#PR」と提供元が1つのハッシュタグにまとまっている

#PR_A社:「#PR」と提供元が1つのハッシュタグにまとまっている

#A社(のみ):「#PR」がなく、ブランド名だけの場合、広告主が明示されているとは言い難い

「A社の商品をお試ししました」:提供品であることがはっきり分からない

A社とのタイアップです:「タイアップ」では提供されていることが、一般的に明確ではない

A社とのコラボレーションです:「コラボ」では提供されていることが明確ではない

A社の案件です:「案件」では提供されていることが明確ではない

関係性の表示については、広告代理店等の中間企業名ではなく、おおもとの商品・サービスを提供する企業名を書きましょう。中間事業者のみでおおもとの提供元の記載がないものはNGとされています。

SNSのプレゼントキャンペーン応募時に応募のためのハッシュタグ指定がある場合は、直ちに関係性があるとは言えませんが、企業側の配慮として「#○○プレゼント」「#○○キャンペーン」等の表示をすることが推奨されています。情報発信者(応募者)がキャンペーンに応募していることが分かれば問題ありません。

報酬のあり・なしで使うタグを選択する

上記を踏まえたうえで、さらに追加可能なハッシュタグについては以下のとおり。

タグ金銭報酬あり物品・サービス等のみ
#プロモーション,#提供,#協賛,#タイアップ,#アンバサダー,#サポーテッド,#スポンサード
#物品提供,#サービス提供,プレゼント企画,#プレゼントキャンペーン,#モニター,#献本不可

つまり、「金銭報酬あり」と「物品・サービス等のみの提供」のどちらでも使用できるハッシュタグは「#PR,#プロモーション,#提供,#協賛,#タイアップ,#アンバサダー,#サポーテッド」となります。

また、「物品・サービス等のみの提供」の際に使用できるハッシュタグは「#物品提供,#サービス提供,プレゼント企画,#プレゼントキャンペーン,#モニター,#献本」です。報酬がなかったことを強調したい場合は、こちらを使用すると◎

各SNSでの表示ルール

ここでは、「WOMJガイドライン」や、2023年9月26日にLIPS内で行われた【消費者庁×LIPS 直前!ステマ規制理解セミナー】をもとに、各SNSでの表示方法について解説します。

Instagram

Instagramの設定でプロ(クリエイター)アカウントにしている場合、新規投稿キャプション入力画面下部にある「パートナーシップのラベルと広告」を選択。「タイアップ投稿ラベルを追加」でブランド検索をし、提供元企業のアカウントを選択。この設定ができるのであれば「#PR」表記は不要です。ただし、消費者保護の観点からタイアップと「#PR」表記が重複表示しても問題ないとされています。

プロアカウントにしていない場合は、#PR・#広告・#宣伝・#プロモーションの4つのうち1つの記載をし、以下の順番でハッシュタグを設定。

#PR・#広告・#宣伝・#プロモーション(4つのうち1つ)+#ブランド名

プロアカウントではない場合、キャプション下部に「#PR」等のハッシュタグ群があると、キャプションを開かないと「#PR」が見えないため、キャプションの先頭に「#PR」を付けることがWOMJガイドラインでは推奨されています。

企業によってはタイアップ設定していても承認しない企業もあるため、私はタイアップ投稿+「#PR」表示の両方を自分ルールとして採用しています。

X(Twitter)

#PR・#広告・#宣伝・#プロモーションの4つのうち1つの記載をし、以下の順番でハッシュタグを設定。

#PR・#広告・#宣伝・#プロモーション(4つのうち1つ)+#ブランド名

リプライにつなげるツリーでの「#PR」表記は認められておらず、また、プロアカウント(長文)の場合は、スクロールしなくても見える位置に上記の記載が必要です。

こちらもInstagram同様、開かないと見えない(折りたたまれた)位置にある「#PR」表記は意味がありません。

TikTok,Youtube

タイアップやプロモーション選択必須。概要欄等ではなく、動画内かつ冒頭に表示させること。この表示設定ができる場合は「#PR」表記不要。

動画内や概要欄等で「タイアップじゃない」等の発言をしてしまうとステマになるため、そのような発言はしないようにしてください。

LIPS,@cosme等のレビューサイト

LIPS

商品追加時に「入手方法」の選択で「モニター・プレゼント」を選択。直接企業から提供された場合は「モニター・プレゼント(ブランド公式)」を選択し、中間企業(広告代理店など)がある場合は「モニター・プレゼント(その他)」を選択。LIPSでは中間企業名の記載必須です。

@cosme

クチコミ投稿ページ下部の「使用した商品」で「現品」または「サンプル・テスター」を選択。提供の場合は「モニター・プレゼント」を選択し、提供元の選択をする。@cosme以外からの提供の場合は「その他」を選択し提供元の記載をする。提供元の記載は任意。

「購入モニター」の場合も「モニター・プレゼント」の選択必須です。

当選品を投稿する場合

各SNSで行われる「プレゼントキャンペーン」にはさまざまな種類があり、場合によっては「#PR」表記が必要なこともあります。

ここでは、「【当選品】で敢えて基準を作るなら」という観点で分類していきます。

SNS等へのレビュー指示なし

「#PR」表記がない場合でもステマには当たらず、表記不要です。ただし、当選品であることやいただいたことが分かる表記を推奨されています。

【当選品】A社からいただきました

#A社のプレゼントキャンペーンで当選しました

#ギフティング:いただいたことは分かる表記だが、関係性表示タグとして認められた表示ではない。一切不可だと認識しておいて良いです。

※「#ギフティング」=「#Gifted」

SNS等へのレビュー指示あり

当選品であっても「レビュー依頼」という文面や「ハッシュタグ指定」がある場合は、「#PR」表記必要です。

「レビューしていただけると嬉しいです」くらいの強制力がない文言の場合はレビュー依頼なしと判断されます。

購入案件の場合

PR依頼の中には自費購入後に商品代金や報酬が支払われる場合があります。この場合についても見ていきましょう。

当選▶ECサイトでの購入依頼▶レビュー指示なし▶返金あり

「#PR」が無くてもステマには当たらないとされていますが、総合的に判断したうえで第三者(インフルエンサー等)の自由意志に基づくと判断されることが必要です。

この場合でも、レビューしたことでその後の当選確率が高くなる等の利益がある場合はステマに該当するので要注意!

当選▶ECサイトでの購入依頼▶レビュー指示あり▶返金あり

「#PR」が無ければステマにあたります。いわゆるサクラレビューのこと。

当選▶Amazonでの購入依頼▶Amazonレビュー指示あり▶返金あり

Amazon規約違反。インフルエンサーのAmazonアカウントがBANされる可能性があるため、辞退しましょう

企業側の罰則としては、Amazonで購入させて全額返金させる手法は「売上ランキングの不正利用」に該当する可能性もあるため、企業側の認識も改善されるべきだとは思います。

「返金あり」の約束をしたうえでPR投稿をした場合でも、結果的に返金がなくトラブルになる可能性も考えられます。そういったトラブルに巻き込まれないためにも、「購入後返金ありのPR」を受諾する場合は、よく考えたうえで依頼を受けるようにしましょう。

Q&A(1)

2023年9月26日にLIPS内で行われた【消費者庁×LIPS 直前!ステマ規制理解セミナー】での質疑応答内容です。

ステマに加担した場合の個人の罰則はある?

ありません。あくまでも、罰則の対象は事業者(企業)です。

ただし、違反した表示物が消費者庁のページに公表される場合も多いため、社会的立場や信用を失うリスクはありますし、契約内容次第では広告主から損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。また、SNSによっては利用停止の可能性も。

LIPSに関しては、通報があった場合、「運営からのお知らせ」で通知が来るので真摯に対応を。

ステマ依頼された場合、どのような対応をするべき?

「PRを付けないで投稿してほしい」と言われたら、まずは依頼を断りましょう。自分が晒されたり炎上する可能性もあるため、断固としてステマは受けないという意思表示が必要です。消費者庁のステマ通報窓口「ステルスマーケティングに関する景品表示法違反被疑情報提供フォーム」に通報することも可能です。

「金銭提供なしなのでモニターにして」と言われたら?

金銭の授受が発生しない場合でも、広義の経済的利益がある企業からの依頼によって投稿をした場合、ステマにあたると判断される場合があります。

モニターであっても「#PR」を付けることを推奨します。

過去の投稿も規制対象になる?

なります。

Web上に表示される投稿は過去のものであっても検索すれば出てきてしまうため、規制の対象です。PR時のガイドラインに表示期間についての指定があり、かつ期間内であれば投稿の上げ直し、期間が過ぎていれば削除を推奨します。

InstagramのストーリーズでもPRは必要?

必要です。

ストーリーズ等の短時間・短期間の投稿であっても広告・宣伝に該当しますし、スクリーンショット等で保存される場合もあるため、分かりやすく読める文字の大きさで一定時間以上「#PR」を表示させる必要があります。

「#PR #A社」と「A社からいただきました」は併記するべき?

片方でもOK。

消費者から広告と分かる表記であれば問題ありません。消費者目線では両方書いてあったほうが分かりやすいため、両方でも可。

Q&A(2)

ここでは、疑問になりやすい点についてQ&A方式で解説していきます。

InstagramやX(Twitter)で商品リンクを貼る際はPRは必要?

購入品であっても、商品リンクがQoo10や楽天ROOMのようなアフィリエイトリンクである場合は、「#PR」などの表記は必要です。

ただし、提供品ではない購入品かつリンクがアフィリエイトではない場合は必要ありません。

消費者庁で禁止されているわけではありませんが、よく見かける「#AD」はPRと認識する人が少ないというデータもあり、推奨されていないので注意!

PRの表記はいつまで必要?

提供されたアイテムを紹介する場合、初回投稿は「#PR」表記の必要があります。例えば「3回投稿必須」等の指示がある場合は、その回数分の「#PR」表記は必要です。また、アンバサダー等で一定期間のPRを依頼されている場合も「#PR」表記は必要です。

しかし、例えば美容アカウント運営者の「使い切り報告」などの2回目以降の投稿に関しては、自主的な投稿となり「表記を推奨する」程度に留まり、現在必須とまでは言われていません(想定してなかった事例のようです)。ただし、過去に一度PRしていることもあり、関係性ありと判断される可能性も全くないとも言えず、コンテンツ内で「今回(使い切り投稿)は依頼を受けたものではない」旨を記載するとより安心できるでしょう。

イベント招待の場合については、招待されたイベントの参加期間中はもちろん、イベント終了後でもそのイベントに関係する投稿を行う際は「#PR」表記が必要です。

(WOMJガイドラインより)

良く分からないからとりあえず全部にPR付ける「勝手にPR」これってNG?

インフルエンサーの行動としてはNGです。

現在、対応に戸惑う企業も多く出てきている「勝手にPR(勝手広告)」は、企業との関係性がないにも関わらず、「#PR」表記をすることでレビュー依頼があったと誤認させてしまうことになるという問題のことです。

インフルエンサー視点では「好きなブランドを宣伝しただけ」にすぎませんが、その投稿が薬機法に抵触する内容であればどうでしょうか?

その投稿を見た人の視点では「#PR」表記があるだけで企業の「お墨付き感」が出てしまい、企業側が把握していないうちにブランドの評判を傷つけられる恐れ(薬機法違反を見逃している等の誤認)もあるため、危機感や困惑が拡がっているようです。「勝手にPR」は控え、どうしても紹介したいのであれば「購入品紹介」で充分なはずです。

ただし、購入品でもアフィリエイトリンクを付けている場合には、「広告」となり、薬機法を意識した投稿が求められる点は注意が必要です。

ステマ規制法と各SNSのローカルルールではどっちが優先?

各SNSに独自のルールがある場合は、それに従うことが推奨されています

  • 例:LIPSで中間企業の記載表示 等

ただし、各SNSの関係性の明示についてのルールが、WOMJガイドラインと比べ不十分・不明瞭な場合は、各SNSのローカルルール以上の関係性の明示が求められます。つまり、ローカルルールで「#PR」不要とされている場合でも、「#PR」に代わるタイアップ設定のようなものがない場合は「#PR」表記は必要です。

(WOMJガイドラインより)

商品貸与の場合は?

商品貸与であっても「#PR」表記は必要です。その場合、無償提供と同様に認識されないように「A社から貸与いただきました」等の表記も問題ありません。

(WOMJガイドラインより)

業務(仕事)を通じて商品提供されたものを個人アカウントに載せる場合は?

ライターや雑誌編集者等、業務を通じて商品提供がある場合も想定されます。この場合で、かつ個人のSNSアカウントで商品を紹介する場合は「#PR」表記は必要です。

また、本来、参加資格のないファミリーセールに招待され優待価格で商品を購入しSNSに掲載依頼をされた場合は、関係性の表示は必要となります。

(WOMJガイドラインより)

飲食店で「SNS投稿で1品無料!」とされている場合は?

「#PR」表記は必要です。本来、支払うはずの料金を支払う必要がなく「経済的利益」にあたるため関係性の表示は必要です。

Googleマップの口コミにおいて、「★5で商品サービス!」とした場合は、指示があるとみなされるため、「PR」表記がなければステマに該当する可能性があります。また、口コミに対してインセンティブ(報酬)を与えることはGoogleのポリシー違反です。

(WOMJガイドラインより)

この内容に関しては、関山翔太さん(@shotasekiyama)がX(旧Twitter)で詳しく解説されていますので、こちらをご覧ください。

X(Twitter)でリポストするだけで報酬を支払うと言われた。これってあり?

なし。ステマに該当します。

投票・評価・「いいね」・リポストなど、関係性の明示が物理的にできないような場合、消費者を欺くことになります。そのような偽装行為は行ってはなりません。

(WOMJガイドラインより)

いわゆる「まとめ投稿」ではPR必要?

  • まとめ投稿商品すべてが提供品である場合

すべての商品がPRであると分かるような表記が必要です。

  • まとめ投稿の商品の一部に提供品がある場合

どの商品が提供品なのか分かるようにする必要があります。分からないようにされている場合はステマにあたるので注意!

また、まとめ投稿の目立つ位置に提供品を画像配置するなどの忖度を行うことは望ましくありません化粧品広告に関しては比較広告自体が他社誹謗として禁止されていることもあるため、まとめ投稿に提供品を紛れ込ませること自体、避けるほうがベターです。

  • 使い切り商品をまとめ投稿する場合

提供品の場合は投稿指示回数分の投稿を終えたものに関しては必須ではありませんが、「#PR」をつけないことを推奨されるものではありません。付けたほうがベターと認識しておくと良いです(消費者保護の観点より)。

PR投稿の場合は、どの商品がPRなのか明確にさせるためにも商品単体(ブランドごと)での投稿をおすすめします(私見です)。

商品提供を受けたうえで、ECサイトで評価する場合でもPR必要?

必要です。その評価を見た人が、購入品の評価ではないと気付くことができなければステマに該当します。

また、「★5評価を付けてください」等の指示は、WOMJガイドラインの「偽装行為の禁止」に当たるため、注意が必要です。

(WOMJガイドラインより)

本心の投稿だし、嘘をついていなければいいよね?

提供を受けた商品が普段から愛用していて、好きなものを好きと投稿する場合においても、「#PR」表記は必要です。自分で購入したものか提供を受けたものであるかの判別ができるように投稿しなければステマに当たり得ます

関係性の明示には、本心から良いと思っているかどうかは関係がありません。

(WOMJガイドラインより)

イベント同行者はPR表記必要?

必要です。

招待者の繋がりがあるからこそ行くことができるイベントであっても、本人に経済的利益(メリット)があると見なされてしまうため、「#PR」表記が必要となります。

(WOMJガイドラインより)

入場無料のイベントで総額5,000円相当のお土産をいただいた場合は?

イベント参加者に配布されるお土産の投稿をする場合は、「#イベント名 #PR」との表記が必要です。

この場合、それぞれのブランド名のハッシュタグがなくても問題ありません(マーケティング主体がイベント主催者となるため)。

(WOMJガイドラインより)

有料イベントに無料招待された場合は?

本来、有料とされているイベントに「無料招待」された場合、「経済的利益」を得ていると考えられるため、「#PR」表記は必要となります。「#イベント名 #PR」等の表記をし、招待されたことが分かるようにしてください。

(WOMJガイドラインより)

海外コスメをPRする場合はステマ規制の対象ではない?

ステマ規制対象ではありますが、実際に、海外企業に法的措置が取れるかどうかは別問題です。日本に会社を置いている場合は法的措置が取られるため、規制の対象です。

ステマ規制は罰則の対象が事業者(企業)ですが、インフルエンサーとして「PR」表記を行わないことのリスクは自明であるため、「PR」の表記は必ずしておきましょう。

X(Twitter)で以前にPRしたポストを引用する場合はPR必要?

自分の投稿を引用し、再度宣伝する場合は「#PR」必要です。引用せずに通常のポスト(企業の介入なし)の場合はPR不要です。

レビュー義務がない商品を自主的な意思で投稿したあと、企業よりお礼(ギフト券等)をいただいた場合は?

レビュー依頼をいただいた時点で報酬に関して知っていたかどうかが重要です。投稿後に報酬が出ることを知ったうえで投稿する場合はステマになり得ます。一方、報酬があることを知らずに投稿し、その後企業よりお礼として報酬を受け取る分にはステマには当たりません。

まとめ

以上、インフルエンサーが気を付けるべきステマ規制の解説でした。

ステマ規制は、「消費者を誤解させて自分の利益を得ようとしないでね!」「嘘つかないでね!」という法律です。

ケースバイケースであるために、難しく、ややこしく見えてしまいますが、1つひとつのケースを丁寧に読み解くことで理解できるようになるはずです。

2024年10月1日から優良誤認・有利誤認については罰則が設けられ、場合によってはインフルエンサーも罰則の対象になり得ます。ステマ規制とはまた別の話ですが、コンテンツ作成にあたっては改正情報にも注意してくださいね!

さらに景品表示法に関してもう少し詳しく知りたい方は、以下の動画をご覧いただくとより理解が進むはずです。

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Lily

各SNSで美容アカウントを運営中。ブログで「最低限必要な薬機法知識を分かりやすく」をテーマに記事を執筆。消費者に寄り添った発信が得意。スキンケアへの関心が高く、特に韓国コスメが好き。 薬機法管理者/コスメ薬機法管理者/YMAA/コスメコンシェルジュ/化粧品検定1~3級。

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